ペニンシュラ型

~私とあなたの不可避な壁~

亡念のザムド各話を勝手に解説していくシリーズ 第18話

配信にて全話視聴済みのrivfiがネタバレにならない程度に、テレビ放映された回の分かりにくいところ、今後に備えてちょっと大事なところなどを書いていくコーナーです。あくまで私の勝手な解釈なので間違ってたらごめんなさい。

間が空きすぎなので一気に更新したいと思います。
14話でアキユキとナキアミが分かれてから全体的に暗い雰囲気になってしまっていたこの作品ですが、とうとう上へ飛び出す準備が完了したようです。
今回の色々な見せ方はとてもよく出来てると思いますよ。


〜色々と解説〜

  1.ハルは脱走兵のはずなのに呑気すぎじゃないでしょうか?
一応、冒頭のシーンでは見つからないように隠れているのでそんなことはないでしょう。
むしろ隊長さんに見つかって彼の口から、どうやら表向き自分は垣巣直属になったということで処理された(自分が捕虜扱いされてたことは知られてない)らしい、と知ったからこそあんまり一目を気にしていないのでしょう。
というかこの隊長さんにしろ、古狸こと尖端島司令官にしろ、この作品は名無しのキャラクターが良い味を出し過ぎですね。司令官なんか一話から出てるのに公式サイトのキャラクター紹介で唯一本名じゃないという……


  2.改めて聞きますが、タマヨビってなんですか?更に今更だけどテシク民族ってどんな人たち?
タマヨビですね。既にネタバレになるようなことはほとんど出てきてしまっているので公式サイトのスペシャルにある用語集を見てもらえば事足りると思うんですが一応、ここでも解説を。
二話の解説にも書きましたが(ネタバレ早いな、オイ)ヒルコ、すなわち魂の声を聞く力を持つ者のことですね。用語集ではヒルコの取り扱い云々とありますが、そこまでは気にしなくてもOKかと。
さんざん書いてきましたが、ハルがザムドになったアキユキの声を聞けたり、10話で亡くなったはずのお母さんの声が聞こえるのはこのためです。
もう一つ、テシク氏族について。こちらも用語集に記載がありますが、そっちはあんまり本編には関わらない内容が多いので、もう少し内容に関する様に補完したりしようかと。

(中略)彼らは、生死に関する独特の思想を発展させた。
今ある肉体に執着せず、永遠に滅ぶことのない魂を尊ぶ――そうした彼らの思想は、のちのルイコン教へと結実し、その最も熱心な信者となった。

亡念のザムド | プレイステーション

という風にルイコン教信者である彼らなのですが、ここで注意するのは長であるクジレイカの思惑によってルイコン教の想定するルートから今のテシクの行動は外れている、ということですね。
クジレイカ自身の口からサンノオバに頼っておけないからザムドになったという趣旨の発言もありましたし。また、何故彼らは北の雪国の中での生活を強いられ、そして迫害されるようになったのかということが不明です。胎動窟から追われ、という台詞も今回ありました。
ヒトガタ使いやオンゴロ使いの様子から南側に比べ北政府ではルイコン教は信じられているようですが、それならば何故テシクは迫害されるのか、そもそも何故サンノオバは隠遁生活の様な状態にいるのか。


  3.クジレイカはどうやってザムドになったの?
不明です……
どうやら正式でない方法でザムド化したために体を維持するためにプラーナやウツツダネとかが云々の丸薬(変な儀式で作ってたアレ)を飲み続けないといけないようですが。また、さらっとタマヨビのヒルコを〜〜とか言ってるのでどうやらタマヨビの巫女を何人か殺してそのヒルコでザムド化した模様。


  4.結局、ナキアミの立場は何なの?
その前にクジレイカとの関係を。ちょっとネタバレになりますが、ナキアミとクジレイカは腹違いの姉妹です。
それで、彼女らの父親がどうやら先代のテシクの長だったのでしょう。
またナキアミはタマヨビの力を持っていたのと、何らかの条件をクリアしたことでタマヨビのヒメミコ?もしくは禊ぎのタマヨビという立場に就く権利を得たようです。このタマヨビのヒメミコというのが良く分かりませんがサンノオバのそばに付いて働くもののようです。白髪少年少女のジバシリとも違うのかな?
そんなこんなで、テシクの人々から敬われているのですが、ナキアミ自身はご存じのようにサンノオバの元を去り、伊舟のところに身を寄せていたわけでヒメミコの任は果たせていない様子。
この辺りが今後のナキアミの行動の指針と関わってくることになります。


  5.ナズナが言ってた言葉の意味は?
そのまま簡単にいえば、ハルが言っていた様にアキユキが北にいるから探しに行け、とのことですね。
口調から今回もナズナの言葉ではなく、どうやら彼女の口を借りたアザミの台詞のようです。
アキユキが北にいることが分かっている理由はサンノオバがジバシリ達の様子を分かるのと同様のふしぎパワーだと思うのですが、大事なのがやっぱりあなたのザムドという台詞。
宮地監督のインタビューなどを読むとザムドザムドとして生きるために望ましい条件の一つとして、対となる異性がいること、というのがどうやらあるようです。あくまで望ましい条件であって必須条件ではないことに注意。この辺りの説明がまったく劇中ではないのですが、対となるという意味がアキユキとハルの様にお前らもう付き合えよ、という関係ということなのか、最初に名前を呼んだからそういう扱いになったのかということは分かりません。



久々に結構な長文になってしまいました。


〜チェックポイント〜

   1.そこから何が見えるか
そのまんま今回のサブタイトルなわけなんですが、実際にこの台詞はアキユキにもナキアミにも問われ、また逆にハルは前を見て進め、ということを隊長さんから言われています。
この言葉は何が見えている上でお前はどう進むのか、という意味や、そのままお前には何が見えるのか、そしてそういう風に見えるお前は何者なのか、という意味がかかっています。
本当の意味で見えているのは、今のところハル一人。さてさてこの先どうなるか。


  2.姉妹
前にも書きましたが、亡念のザムドには一話一話ごとにある一つのテーマみたいなものが描かれることがあります。
そして今回のテーマの一つが姉妹。二組の姉妹のすれ違いや別離を見事に描いています。
自分を理由にして軍に入ったのに投げ出す(もしくはハルがミドリにも、ハル自身にも嘘をついていた)ことに対する憤りであったり、自分の望んだものを簡単に投げ出してしまったことだったり、と簡単には説明できない事情からの今の結果があって、初期のころのハルとミドリの様子だとかクジレイカの口から語られた二人の幼いころの話などを鑑みると切ないものがあります。
でも、そんな落ち込んでいる二人の姉を励ますのは、やっぱり調停者であるザムドの二人なんですね。ヤンゴのそのまっすぐな心がナキアミの顔を笑顔にするし、一方では、既にこの世にはいないけれども残した思い出と心武道の心得*1、そしてバイクでハルの明るさを取り戻したフルイチ。
あれ、主人公って誰だ?


  3.名前
そんなこんなで主人公ですが、相変わらず名前を思い出せないまま。須磨子さんが新しい名前を付けることを考えますが影童子はそれを拒否します。
新しい名前を得た者といえば、ナキアミがいますが、確かに彼女は伊舟と出会い、名前を変えて以降、その人生に劇的な変化が、しいて言えばこのザムドの作品世界における役割が変わってしまったことになります。*2つまり、名前が存在証明の第一義となるこの世界において新しい名前を付けることはその人物の役割が変わることを意味します。
童子は新たな役割をもつ者ではなく、アキユキ自身の役割について興味を持っているわけですね。
スカッキやりてすぎる
心に偽らぬこと


  4.心に偽らぬこと
隊長さんの台詞ですが、これがハルの出発の前フリになっていたりするところが心憎いですね。
また心に素直であるかといえば、ツンデレに定評があるフサさんです。ハルがアキユキを探しに行く、ということを聞いた時のあの表情!!
あの自分も探しに行きたいのだけど行けないつらさ、アキユキを探しに行ってくれる人がいる嬉しさを絶妙に表現したあの表情!!
母親の諦念のようなものの機微が絶妙に表現された顔だと思います。


他に気になることといえば、やっぱりリュウゾウのワクチンが今後どのように使われるか、ということですね。
そして、予告を見れば分かるように、ロマンスがどのように開花するか!!
宮地監督お得意の演出にご期待ください。


17話のはこちら↓

19話のはこちら↓

 

*1:大切なのは相手と向き合い、拒絶せず、自分の一部にしてしまうこと

*2:このあたりは25話までおあずけ