ペニンシュラ型

~私とあなたの不可避な壁~

亡念のザムド各話を勝手に解説していくシリーズ 第24話

配信にて全話視聴済みのrivfiがネタバレにならない程度に、テレビ放映された回の分かりにくいところ、今後に備えてちょっと大事なところなどを書いていくコーナーです。あくまで私の勝手な解釈なので間違ってたらごめんなさい。

すごいボンズ成分が詰まった回でした。
個人的にはミドリの語りが超バレエ・メカニックじゃないか、とか思ったりするんですが笑”
さて、この回、理屈をつけて色々説明しろと言われると一番難しいんじゃなかろうか。



〜色々と解説〜

  1.ナキアミはミドリになにをしてみせたのか
何だろね、あれ。声にエコーかかってたりしてるので確実にタマヨビの力を使ってのものだというのは分かるんですが。
おそらくミドリの内部に入り、ミドリの心の中で止まっていた時間の中にいた魂を呼び出した(魂呼び)ということでしょう。
といってもあれが本当にミドリとハルの母親のヒルコかというと?なんですよね。あれはあくまでミドリの記憶の中の時間であるはずだから、ミドリが考えるお母さんの姿というのをヒルコの形にしてナキアミが見せてあげただけかもしれませんし。
まぁミドリの時間が止まっている、ということは魂の時間も止まっているということだと思われるので、その時点を手掛かりにルイコンの流れからお母さんのヒルコをサルベージしたのかもしれませんが。


  2.今までヒトガタは解体されても液体になるだけだったのにミドリが元の姿に戻れたのはどうして?
リュウゾウさんのワクチンの出来が良かった、ということもあるでしょうが、やはりミドリちゃん自身の心が関係しているんではないかな、と思います。
ナキアミが驚いていた様に、ミドリはハルを呑みこんだことを自覚していないんですね。これはおそらく普通のヒトガタとは異なり、ミドリとヒルコの意識が一体化していないということでしょう。
ミドリ自身が母親とのことでの心のつかえが取れて、生きたいという思いがまたはっきりとした形で表れる様になったのではないでしょうか。
幸か不幸か汗馬によって緑心石の力でむりやりヒルコと結合させられたことで今までのヒトガタとは違う性質が出ていたのでしょう。


  3.何故アキユキは急に仮面が付き、石化し出したの?
ハルがいなくなって情緒的に不安定になったということで正解で良さそうですが、ここでもう一つアキユキにとってハルはどういう立場なのかというのを考えてみます。
19話にてハルがアキユキの名前を呼んだことで彼は我を取り戻せたわけですが、それはいわば、ハルはアキユキの命名者、もしくは存在の証明を為してくれる人物であったともいえるのではないでしょうか。
ハルがいなくなるということは名前を呼んでくれる人がいなくなり、存在を証明してくれる人がいなくなることとアキユキには同義であり、そこでまた我を失いかけてしまったということでしょう。
つまり、今回のラストの彼のザムド化は今まで依っていた他者からの認証ではなく、自分自身の力で自己を確立できるようになった場面でもあるわけです。



もう大半妄想で書いてしまっている気がしますが、そうでないと説明がなされないからしょうがない。
私が考えたアニメ。


〜チェックポイント〜

  1.皆と一つになる時が来た
サンノオバの大巡礼に対しての言葉がこれですが、これは少しおかしいですね。なぜなら大巡礼はあくまでヨホロギ達の魂をヒルケンにぶつけるだけであって、一つになるという説明は出てきていません。
一つになる、というのがヒルケンと打ち消しあったルイコンの流れに還るという意味だとしてもそこにサンノオバが含まれるのか、という問題が生まれます。果たしてサンノオバの真意はいかに。
サンノオバといえば既に彼女はアザミが死んだことを知っているようで、ジバシリと何らかの形でコンタクトがとれるのは確定の様ですね。


  2.かくれんぼ
21話にてジンイチロウがミドリを救出しに行く際にも言っていた「かくれんぼ」というキーワードですが、今回ハルにも「かくれんぼなんか辞めよう」という台詞がありますね。
ジンイチロウの時にはミドリはまぁだだよという立場であったのに対して、ハルとの間ではミドリが隠れてしまっている立場にあるというのは面白いですね。
他にもミドリ関係では表現が面白いところが多々あって、彼女の言葉である「いるはずの無い魔法使い」がナキアミであるのはいいとして、その魔法の力(タマヨビ)を実は姉も持っていたんだよ、とかハルやナキアミを呑むシーンがどうも性器の寓意っぽいとか色々ありますね。


  3.アキユキの心の変化
解説のの3でも書きましたが、今回はアキユキが最後の成長を見せる回でもあります。そもそも闇が迫ってきた時のハルへの台詞「早くここから離れよう」というのは非常に主人公らしくない前を向いていない台詞です。
そこからどういう風な思考を経てアキユキがザムドとして目覚めヒルケンに対峙しようと思ったのか。
そもそも今回は14話でのフルイチとの戦いの焼き直しでもあります。かつての友達がヒルコに呑まれてしまった状況でどう動くか。前回はザムドの力を使うことで結果的に我を失ってしまったわけであるけれど、今回は我を失いそうになりつつも、ナキアミの言葉を受け自ら考えた結果、ザムドの力を使い自己を得る。
ナキアミからアキユキへの言葉は難しいですが、千の澱みが折り重なり、闇を断つ、などと言っていますから、大巡礼とはどういうものでザムドとはどういうものなのか(心が日を放ちつつ、凍っている)、ということを説明しているのだと思います。それを踏まえたうえで、ザムドとなってしまった自分はどうしたいのか、

生きたい、お前はそう願っていたんじゃないのか。慰めを求めんとする己を律し、悲しさや悔しさを噛んでゆっくりと立ち上がれ

生きたいと願っていたんだろう、それでは、どうする?
そうしてアキユキが考えた結果がザムドとして自分しか出来ないことをやろう、というわけでしょうか。
ここのナキアミの語りのシーンは今までの映像がフラッシュバックするわけですが、普通ならここはナキアミとの出会いから始まって時間の流れと同じように進み、アキユキの成長を演出するわけですが、どういうわけか逆に時間を遡り、最初のアキユキとナキアミの出会いの場面で回想が終わるようになっています。こういったところの演出意図を考えてみると面白いですね。



こんなところで。
さぁどうにか東京MX25話放送前に書けました。苦情、不満、非難、罵倒など謹んでお受けしますのでお許しください。
25話は本当に素晴らしいので、一番の高レートで録画することオススメします。作画もすごいよ。


23話分はこちら↓

25話分はこちら↓