ペニンシュラ型

~私とあなたの不可避な壁~

亡念のザムド各話を勝手に解説していくシリーズ 第14話

配信にて全話視聴済みのrivfiがネタバレにならない程度に、テレビ放映された回の分かりにくいところ、今後に備えてちょっと大事なところなどを書いていくコーナーです。あくまで私の勝手な解釈なので間違ってたらごめんなさい。


はい、というわけで大事な大事な14話であります。
私はこの回が一番好きな回なのですが、みなさんはどんな感想をお持ちになったでしょうか。早く関東圏は放送してほしいです、ほんとに。
もうしばらく解説するほど分からないことはそんなに出てこないから、代わりに自分の思うところを存分につづってみようかしら。
どうです?ラムネ飲みたくなりましたか?
爽快なシーン、いわゆるカタルシスみたいなものがほとんどないのに関わらずこれだけ心に残るっていうのはすごい。
私の場合、初めてこの回を見終わった瞬間から三時間ほど落ち着きが取り戻せませんでした。ずっと飛び跳ねてたYO!(実話だから困る。)
ではでは無粋な解説をそろそろ……

〜色々と解説〜

  1.フルイチが石にならなかったのはなぜ?ついでにフルイチ性格変わりすぎでないかい?
12話の解説でも少し書きましたが、あらためて。
ここはやっぱりナキアミの台詞にあった「ヒルコに憎悪を食わせた」とか「大きすぎる憎しみが石になることを防いだ」というのが重要ですね。
決してフルイチは考えることをしていなかったわけではないんでしょう。だから石化はしなかった。だけど、その考える方向が少し歪んでしまっていた。ヒルコは考えること、想いを求めるけれど、それがどういったベクトルのものなのかというのは関係ないんですね。
アキユキへの嫉妬だとか、ハルへの想いだとかいったものは元から彼に確かにあったものでしょう。そういった想いや気持ちがヒルコにどんどん吸収されていった。
ナキアミの台詞でもうひとつ分かることがあって、「(フルイチは)我を失っている」んですね。ヒルコにそういう思いを喰らわせすぎてしまって、その力が表の方に出てきてしまった。そうしてまたネガティブな感情が生まれ、それをまたヒルコが喰らう、と。なんという負の連鎖。
性格の変化も一応そういったヒルコの影響という説明が出来ます。(一方で戦時下という非常事態にいることで切羽詰まるとかなんとかで本性がでた、とも充分に解釈できますがそっちはあんまり好きじゃないです)
ヒルコの力が強すぎるから石化もしない。けれど、ただ我の力が強すぎて人を導く、仲介するというザムドの顔は失ってしまっていた。それがあんな形で出てきてしまった。
じゃぁちょっと待って。フルイチは自分の力が強すぎて、逆にザムドの仮面、力をなくして*1暴走してしまった。
なら反対に全身変化するほどのザムドの力を使い、傷つき、仮面をつけてしまったアキユキは……


  2.垣巣がアキユキザムドと会話できたのは何故?
一応、全編見れば垣巣もザムドの声が聞こえる理由づけが出来ない気がしないでもないのですが、それならナキアミへのアキユキの言葉も聞こえてるはずなので普通は聞こえてない(ナキアミやハルと同様の力は持っていない)のでしょう。
今までのヒルコだとかザムドの魂の声にはエコーがかかってましたが、垣巣とアキユキの会話の場面だとアキユキの声にはエコーがあまりかかってなかったので普通の人間に聞こえる声もザムドは出せると理解してもいいんじゃないでしょうか。


  3.なんでフルイチ死んでしまうん?
色々考えられそうですが、ナキアミの「殺さないと(ハルを)助けられない」というセリフやあのアキユキザムドの哀しい殴り方(全く関係ないけど自分は仮面ライダークウガのラストバトル連想した)とか見るとフルイチはあの戦いで死んでいてもおかしくなかったのでしょう。
それがヒルコの力かナキアミのウツツダマの力か少しだけ長らえることが出来た。こう考えるのが一番自然な気がします。
そして最期には「消えるから美しいんだろ」という自ら台詞のように自らの手でケジメをつけた、と。(´;ω;`)
奇しくも、前回フルイチが家を出るときの母親との会話(首を指しながら「これだよ、これ」)がそのまま実現され、最後の会話になってしまったことになります。お母さん(´;ω;`)
もっというと駄菓子屋のおばあちゃんとの会話もフルイチの一人芝居か、幻覚幻聴の可能性が高いよ。声がナイスキャッチでおなじみのみかんの笹村のおばあちゃんだったよ。(´;ω;`)


〜チェックポイント〜

  1.きもちわるい
フルイチきめぇ、と思った方、あなたの負けです。ついでにどう見てもカオナシです、と思った方も負けです。あしからず。*2
今回は確実に気持ち悪いだとか美しいというものをテーマに作ってあります。フルイチのあれだって意図的にそう見えるように描かれたのでしょう。まんまとのせられております、私たち。
というか、アキユキを狙撃する一般兵が素晴らしすぎるでしょうが!!「だってきもちわるいですもん」ですよ!!
一方で垣巣はザムドを美しいと評しておりますが、それはザムドが異種なものであるから来ている感想のように私は思われます。
美しいというのも気持ち悪いというのもザムドを、相手を彼岸の存在だと思っているからこそ出てくる言葉。要するに人間だとは思っていない。
ただフルイチにもいたんです、アキユキにもいるんです、彼らを自分と同じ様に見てくれる人が、自分の気持ちをそのままぶつけてくれる人が。


  2.一つは、俺の分。もう一つは、大好きなハルの分。最後の一つは、俺の一番の……


ブワッ(´;ω;`)


言えよ!!フルイチ!!その続きを言えよ!!言葉にしなきゃ通じないこともあるんだよ。


フルイチの非モテ具合は筆舌に尽くしたいものがありますが、だからこそ彼の気持ちは良く分かる。彼がとおってきた道はずっとずっと雨だった。晴れはしなかった。実際、劇中でも雨が降っているシーンはいっぱいあった。
垣巣が設楽さんヒトガタを撃った時には虹がかかった。アキユキと再会し銃を向けたときも雨は降った。だけど、今回は視界に涙は映ったけれどその涙は彼のものでなく、天気はそう、晴(ハル)




ちなみに、今回こそザムド演出の要の回でありまして、繰り返しの描写だとか(たとえば一話と全くニュアンスが違った「このご時世に色恋沙汰とは不謹慎でありますぞ」というフルイチの台詞だとか)、ヒルコにネガの気持ちを込めたものは求めるものを内にとりこもうとするとか、文字通り境界のシーンで流れる挿入歌であるとか(八話の橋の上もそうですが、今回の逆人間腕はすごく象徴的)見れば見るほど発見がある素晴らしい回です。


さて、次回から新章突入。キャラクターの場所が分かれたことで一気に群像劇的な側面が強まります。
置いてかれないようにしたいところ。


13話のはこちら↓

こちらが15話分↓

 

*1:ナキアミの台詞「ザムドの顔すらない」

*2:宮地監督は千と千尋の副監督だったんでしょうがない。