ペニンシュラ型

~私とあなたの不可避な壁~

あんまり注目されないのはもったいないと思うので。


イマイチ『メフィスト』『ファウスト』に比べてパッとしない『パンドラ』ですが、新しいのが出てたのでざっと見てきた。
そしたらマンガで載ってた『Fade Out Syndrome』ってのが黒くて良かった。ラスト数ページで急によくなる。
これはすごい。
話としては、彼女が身体が小さくなっていって最後には消えてしまうという病気にかかってしまってどうなるの?
成年マンガだとありそうな気がしないでもない感じの話ですが、同じテーマで一般誌にのっけれる形にしたのがすごいと思う。



以下、ネタバレなので反転して感想。
普通に病気でそのまま死んでしまっていれば姿が見えなくなってしまって彼女は消えてしまうことになるのだけれど、あの段階で死ぬことによって病気の進行も止まって彼女の姿は残ることになったというのが。
手に入らないなら殺してしまえ、という話はたまにみるけれどこの作品の場合、(故意ではないとはいえ)殺してしまうことにより彼女を自らの手の中においておけるようにしたっていうのが新しいのではなかろうか。
更に、彼女が死んだ原因っていうのは確かに主人公に過失があるのだけれども、ちょっとした事故だったんだと言い訳することも出来なくはないので、絶妙なところで彼が責任逃れ、自己解決できる(ように見える)話の組み立てになってる。
というか、死ぬときのあっけなさ、突然さ、死の明白なところとかが一コマで巧く表現されてたと思う。
ラスト、ビンの中の人形のような彼女の姿が暗く描かれて、絶望であるはずなのに主人公には喜びが感じられるという壊れ方。これはいい。
ページ数も少ないのでそこだけでも読んでみて下さい。