ペニンシュラ型

~私とあなたの不可避な壁~

再生の物語を描くのならばルーツを示さねばなりません 『京騒戯画』2話

タイトルにもしましたが、京騒戯画がナレーションの言う通りある一家の愛と再生の物語であるならば、まずそのルーツを示さねばなりません。
前回が家族及び鏡都のルーツであるのならば、今回は主人公であるコトにスポットをあてた話と言うことが出来るのでしょう。
そして次回以降、鞍馬たち他の兄妹にもスポットをあてていくわけですね。
とはいえ今回第二話『やってきたのは妹』、劇中説明だけだとそもそもコトが妹であるかというのが分かりにくいかなーと思います。
公式サイトや動画サイトの配信ページで記載されているあらすじではどういうお話であったのか非常に簡潔にまとめられていますが、この文字解説で理解したつもりになるというのは癪であると言いますか、こういった作品外の補足がなくても作品内だけで十分に先生と家族である様子が描かれているのでテレビ放送だけで見ている人も問題は全然ないと思います。


さて今回は前回までと違って派手な目を引く演出は控えめですが、ところどころがとっても上手いですね。赤目の強調、場所の切り替わり方とかブロックノイズ、面連中が喋り出す時の色の切り替わりなどなど。
割とアニメでお約束なキャラ二人が画面に入るように顔がすっごい近くにある画面に対して「近い」とツッコミを入れるのが面白かったり。
特に元々コトと先生がいた世界がどういうものなのかという説明がこっそり出ているのですがそれはあんまり大きくクローズアップされることはなさそう。


「君は本当に泣き虫だなぁ」というのが石田さんの別作品でのキャラの台詞にありましたが、その涙はどこからくるのかというのが今回の一つのポイントでしょうか。
先生が顔を隠して寝ているのも、コトが以前泣き虫であったのが強くなったことも、果ては八幡くんがコトに勝てずに泣いているのも全て家族に起因するものです。
私の秘密も、私たちの秘密も、すでに明らかではあるけれど、まだ家族が再生(揃いぶみになる)する前であるから、「秘密」のままで良いんですね。そもそもなぜ先生が秘密にしているかというのが謎であったりするのですが。


というか今回隙がなさ過ぎてぶっちゃけた話、あまりここで書くようなことがないという笑。
これから兄弟たちにクローズアップして行って前半が終わることになるようですがはてさてどうなるか、期待して待ちたいです、うん。
とはいえ今回で0話にもあった三人議会のシーンがあったことで今回のテレビシリーズは0話PVとやはり設定がそのまま地続きでないことがはっきりしましたね。PVだとあの会話シーンは誕生日のお話でしたし。
むしろ、コトも含めてある一家であるのならばコトの「早く帰りたい」がどういう方向になるのか分からなくなってきました。
気になるのはどうやら先生(稲荷)が徐々に小さくなってきているように見える点、鏡があるのに何故鏡都に先生はいけなかった(逆に何故コトは行けたのか)ということでしょうか。後者は黒兎=古都が大きくかかわってそうですが、そういえば三人の子供たちはやっぱり仏の姿を借りた母のことしか知らない様ですね。

こんなところでちょっと短いですが、今回はこんなところで。

そこでこそ愛 『京騒戯画』1話

放送二回目で第一話!!やっぱりちょっとややこしいでもそこが良い。
というわけで、第一話『ある一家の事情とその背景』でございます。
次回の二話もそんな感じが漂っていますが、今回は特に配信第二弾の内容を踏まえてると分かりやすいというかまとめている内容でしょうか。
そもそも予習編であるPVと配信版の内容と今回のテレビ放送版の設定が完全に同一かどうかというのがはっきりしてないので微妙に食い違いなどももしかしたらあるかもしれませんが。


さて今回もテキトーに書き散らかしていきたいと思いますが、前回答えを書くのが無粋みたいなこと言っちゃったのでなかなかそういったことを書くのがやりにくくなってしまいました汗
まず冒頭のタイトルが出るまでのカメラの動き方が良いですね。壮大さが感じられると言いますか。
石田さん演じる先生(稲荷?)の語りから入って何やらすごいことが始まりそうな印象を持ちますが、それでもやはりこの京騒戯画が描くのはただの家族のお話なんですよね。
ちょっと変わっただけどどこにでもある家族のお話。そういえば、松本監督の前作花の都〜もサラマンダー男爵とオリヴィエの親子の物語ということも出来るでしょうか。
花の都といえばそちらでもあった高所での家族の語らいが印象的ですね。高所というと周りが見渡せるということで話し合ってるキャラクターたちの関係性や立ち位置を確認するのに使われているシーンということなんでしょうか。
今回は家族が一旦離れ離れになってしまうエピソードだったわけですが、そういう意味だとOPや明恵の夢に出てきた割れたザクロはまんまその意味を持つ意匠ですね。OPだと鏡とそんなザクロが入れ替わっているわけでどういう意味になるのでしょうか。鏡を使って入り口を開き、入り口である門自体は古都が隠してしまったわけですが……


というわけで家族のお話ということで、初代明恵である父親=稲荷だとしますと、冒頭の語りの内容ももっとさみしいものになるんですよね。
作中でも語られてるように仏の体を借りている母、古都は未来を見ることは出来るけど過去を見通すことまでは出来ない。そして稲荷は騙りの通り、今に至ってもやはり過去の方ばかり見て先のことに視線を向けることが出来ていない。
結局古都と一緒にいても、あるいはいたからこそますます彼は過去に囚われることになってしまっているという。でも、その過去と未来をつなぐことが出来るのが、「今」であって今その家族がどうなるかという物語になるんだと思います。
ここで言ってみれば視聴者は予習編で「未来」を見ているわけなんですが、今回で鏡都に関する過去を見て、未来と過去の間にある物語がどうなるのかこれから体験していくことになるのだと思います。


という意味で今回の話で特に自分が好みだったのはそんな家族の親二人のやりとりでございます。
明恵と古都のやりとりがされているのが、あちこちで言われていますが、源光庵の間取りですね。


GenkoAn Windows.jpg
By PlusMinus (Photo by PlusMinus) [GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html), CC-BY-SA-3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/) or CC-BY-2.5 (http://creativecommons.org/licenses/by/2.5)], via Wikimedia Commons


悟りの窓の外側にいた者が迷いの窓の内に移動するなんてことは書いていて恥ずかしくなりそうな当たり前のことですが、ここで強調すべきなのはむしろこの画面上での意味を活かす、演出ですね。
左側にいたはずの明恵が、右から左の方に向いた古都の背中側から(つまり右側から)しかも古都よりこちら側から抱きしめる。
ここめちゃくちゃ良い。
でさらに畳みかける様に私たちと同じように観客目線である(見るばかりで何もできない)子供たちが更に回想を経て、観客の立場からあっという間に舞台の上に立たされる。しかも薬師丸は舞台の上での名前まで授けられて。*1
この濃度と意味の付加のさせ方は凄くうまい、面白いです。何故子供たちだけ成長するかというのが話題によく出ていますが、元々の八瀬と鞍馬の画自体は現在の姿に近い姿をしてるんですね、舞台の役者が変わったからそれまでの子供という役割が必要なくなって元の画に近い姿になったという見方が出来るかなぁと思います。
でもそんなエピソードを持つ舞台に今回のラスト、コトが突っ込んでくる!!しかもはじまりとおわり、阿吽の名を持つ二人(二匹)を連れて。
お話の土台だけならこれでしっかり完成してるすばらしさ。
ここも小技が効いていて、父親を期待してやってきた明恵(薬師丸)はその期待が打ち砕かれて舞台の方を見ていないんですが(あるいは彼自身も舞台の上の人間だから見ることが出来ない)、のが京騒戯画の主人公たるコトの語りにはどうしても目を向けてしまう。遅れてきた妹こそヒーローなんですね。


さてさてそんなこんなで、妹でありヒーローであるコトの過去に注目するのが次の二話でありましょう。
ゆっくりしちゃってもう二話の配信が始まってる頃ですが、逆にこのまま続きが見れるということでご勘弁ください。
つまり、このお話はとにかく、愛である。

京騒戯画 零巻(VOL.0) [Blu-ray]

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*1:この命名のシーンは直接つながってるわけじゃなくて彼の夢の中ですが

本格的におまつりがはじまるね、とりあえず屋台や神輿の骨組みを立てるよ 『京騒戯画』


という訳でいつのまにかアニメ放送が始まってました!!
関東ではもう二話が放送されたそうです!!二話web配信ももうすぐだよ!!そしてこのダイアリも更新されずに10か月くらい経ってました!!わたしはだめなやつだ!!


最初の25分の新作が作られた時の京都でのイベント上映にも行ったりしましたし、(感想は書かなかったけど)ネットでの連作が配信された時もすごく楽しく見させてもらったので今回のTVアニメ化はすごく嬉しいです。
正直なことをいうとウチはBSが映らないので関西での放送がないのが残念なんですが、公式で配信してくれることが決まってほっとしました。
長らく文章を書いていないのでリハビリがてらマイペースに各話について何か書ければ良いな、と思います。


京都でのイベント上映の時の感想はこちら↓

今見るとえらい的外れなこと書いてたりもして恥ずかしいのですが。


さて、初回放送分であった第0話予習編はこのイベントの時に上映されたものをベースにBGMや新規作画台詞変更も含めてカット、編集されていたものでした。
というわけで9割以上は同じものでしたが、何をやってるかがすごく分かりやすくなっていたかと思います。
一連のweb配信エピソードでの背景の理解、あるいは約二年で私の理解力(笑)がちっとは向上したというのもあるのでしょうが、それにしても分かりやすい。
上のエントリで

このキャラクターは一体どうしてそんな行動をとったのかっていうのが全然言葉として説明されていない

と書いていますが見せ方を変えるだけでこんなに分かりやすくなるのかというのにびっくりしました。
これは見比べて違いを確認したいところ。
一応上映会版は今回のTV版のディスク0巻に収録される予定の様ですが、実はバンプレストのプライズとしてDVD(ぬいぐるみのおまけという扱い)が既に世に出てたりしています。手に入れとけばよかった。そういえばなければ作れば、のところのバンプレロゴも変更になっていましたね。


ニコニコでの0話配信ページの紹介文が上手く内容を説明してるんですが、これ読まなくてもそれだけでだいぶ理解できるようになっていると思います。
というかせっかくこういう凝った趣向なんだから説明は無粋な気さえしちゃうなー。
個人的にはこの0話は「予習編」ではなく「回答編」だったのではないかと思います。あるいはちょ〜短編版とか。
似たようなことを『真マジンガー 衝撃! Z編』などがやっていましたけどそんな感じでしょうか。
この作品の面白いところは公式サイトで既に全話のサブタイが公開されてるところなんですがそれ見る限り、この予習編の内容+配信での5エピソードを広げてテレビの10話分にするつもりの様です。
そうつまり、先行上映会の際の松本監督の開口一番のコメント「やっぱ尺が足んねぇな」という不満を解消させる機会が来たのです。
1クールで尺が足りると監督が思ってらっしゃるかは謎ですが笑


という訳で元々京騒戯画の新たな展開を楽しみにしていた自分としては来るべき時が来たか、という感じですごく楽しい状況です。
いわゆる物語の基本形として主人公(ヒーロー)の元に女の子が空から降ってくるというものがありますが、(ちなみに私は一話で急に女の子がやってきて自爆テロする作品が好きです)この作品は多分それだけどそれじゃないんですね。
上のエントリには書かなったことですがイベントの際に監督がおっしゃっていたことがあります*1
「私にとって釘宮さんの声はヒーローの声なんです」
初報の5分PVでも今回の予習編でもそして今後のテレビ放送においてもコトは空から降りてきて登場するのでしょう。
空から降ってきたヒーローが主役ではあるんでしょうけど、おそらくこの作品においてはそれだけじゃないのでしょう。ヒーローがやってきてそれに鏡都のみんなが付き合って振り回されて変えられてそんなおまつり騒ぎを繰り広げてそしてヒーローは帰っていく、そんなおはなしになるのだろうと思っています。
松本監督の前作、『花の都〜』でもありましたが、どんちゃん騒ぎをしてそして「Au revoir」なお話になるんだろうな、と。
そんなまんが祭りを自分もしっかり楽しませて頂こうと思います、はい。

*1:同様の内容を今回のテレビ版が始まるにあたってのインタビューなどで各種媒体でコメントしているのでご覧になった方もいるでしょう

話数単位で選ぶ、2012年TVアニメ10選

以前からやりたいなーと思っていたのですが、年末はやっぱり色々忙しくて書くに書けなかったこの選評。
今年はろくにはてダを更新できなかったので一年の最後くらい何か書きたいなーということでがんばって書いてみます。とか思ってたら年を越えてしまったでござる。
ということでもしお目に入ることがありましたら、集計には加えてくださらなくてけっこうです。


そもそも、その一年に放送された作品から話数単位で、という選び方がとっても良いなぁというのは以前からしみじみ思っていました。
よく○○年を代表するアニメとか○○年の人気アニメっていうのを選ぶ企画があったりしますが、ああいうのには2クール以上放送されて年や年度を跨いだ作品(10月開始で翌3月に終了の2クールものとか)が選ばれにくいんじゃないかとずっと思っていたのです。
完結前の段階でそういった評価をされることは当然難しいですし、完結後に評価する場合にも放送開始が前年になってしまうので該当年の作品として認識されず埋もれてしまうことがあるように思うのですが、この一話ごとに選ぶ形式だと純粋にその期間中に面白かった回が選ばれることになる(他にもたとえ作品の結末がとんでもないもの(笑)であっても、ある一回が面白ければ選ばれる!!というケースも考えられたり)のでそういったことがないと思うのです。


さて、前置きはともかく、ルールは新米小僧の見習日記さんを参考にさせていただいて以下の通り。

・2012年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送除く)から10本。ただ12月後半は忙しくてあんまり見れてない
・1作品につき上限1話まで。
・基本的に順位は付けない。ちなみに記述順は私の居住地域での放送順。


そいで、この10本と相成りました。


以下、一本ずつコメント。

戦姫絶唱シンフォギア 第1話「覚醒の鼓動」

脚本:金子彰史/絵コンテ:伊藤達文/演出:室谷靖/作画監督:いとうまりこ/ノイズ作監:光田史亮
「ガングニールだとッ!!?」
一部の層からしたら感涙ものの高山みなみ水樹奈々のデュエット、少女の歌には血が流れてるどころではない急展開、顔真っ黒の主人公でのヒキと見所たくさん。
シンフォギアは他にも最終話とか「許すさ」で視聴者もこの作品を許すしかなくなった9話などとも迷ったのですが、そういった作品はある程度の「適合者」がみるから面白いのであって、誰が見ても「何かすごいことが起こっている」というのが分かるという意味で第一回に。

偽物語 第10話「つきひフェニックス 其ノ参」

脚本:中本宗応/絵コンテ:芦野芳晴/演出:川畑喬/作画監督:阿部智之、伊藤良明、松本元気、高野晃久、佐々木貴宏
忍ちゃんかわいいというか真綾さんがすごい
奇しくも実際にミスド100円期間での放送でありました。
忍ちゃんの顔だけでなく、キメ顔、キレ顔など顔のアップも印象的。

ジュエルペットサンシャイン 第50話「ダークジュエル大戦でイェイッ!」

脚本:金杉弘子/絵コンテ:宮崎なぎさ/演出:安藤健/作画監督:空流辺広子
さんざん大丈夫かコレ、というものを繰り返してきたジュエルペットサンシャインの狂気の温度が頂点に達した回。
本来の視聴者層など知らぬ存ぜぬで繰り広げられる、パロディの連続。そして流れてしまうyouはshock
最終的な結び方自体もある意味ですごかったわけですが、視聴者に執拗に突っ込みを強いるという点ではこの回がシリーズ最後であり、その分すごい勢いを持った回でした。

わすれなぐも(2012年度アニメミライ参加作品)

監督:海谷敏久/脚本:谷村大四郎/作画監督:高橋英樹
これ入れちゃってよいのか悩んだのですが、実際にテレビ放送されましたし、一応テレビ放映されることが制作時の段階で前提としてあったらしいということでカウント。
普通のアニメ1話分の尺の中で鬼蜘蛛の娘のかわいらしさと妖怪ものとしての恐怖を見事に描いてたと思います。
硯が徐々に憑かれていく様子の描き方、一瞬一瞬に嫌悪感恐怖感をちらりと視聴者に与える演出と非常に良い作品。
カメラの動かし方とか芝居のさせ方も面白い。コレに限らず2012年度のアニメミライ作品は本当に面白かったです。

聖闘士星矢Ω 第10話「決死の奪還! もう一人の黄金聖闘士!」

脚本:大和屋暁/演出:松本理恵/作画監督:馬越嘉彦
なんたって松本さん演出と総作監じきじきのこの回。
初見時でのマルスとの戦い、聖矢登場での引きの面白さもすごかったのだけど、今見返すと、キーアイテムであるイヤリングの使い方とかもよく考えてあるし、聖矢とアリアの関係自体の暗示とも読める。
ニンジャさんはもちろんみんな戦い方も面白いし、前半の良回。
Ωは遺跡めぐり編実質ラストの27話も良かった。

エウレカセブンAO 第12話「ステップ・イントゥ・ア・ワールド(episode:12 heaven and earth)」

脚本:會川昇/絵コンテ:増井壮一/演出:三浦陽/作画監督:嘉手苅睦、可児里未/メカ作画監督:水畑健二/キャラクター監修:織田広之吉田健一
私、エウレカと言います!!
AOは本当に面白く見れたので、本当に最終話とこの12話どちらにするか迷ったんですが、あくまで自分が見ながら期待したのは「交響詩篇エウレカセブン」の続編であって、エウレカセブン、ポケットが虹でいっぱいの延長線ではなかった、という点でエウレカが登場したこの回を。
もう冒頭の「トゥルースはやさしい」からあぁ會川さんトばしてるなと分かり、説明と複線の追加を行ってからの最後の月光号登場と本当に見ていて面白かった。

超訳百人一首 うた恋い。 第11話「香子と藤子 紫式部

脚本:金春智子/絵コンテ・演出:政木伸一/作画監督:鈴木奈都子、青柳重美、山崎輝彦、松尾真彦、飯飼一幸
「あふひ」(葵)が出た瞬間にリアルに叫んだこの回
あそこで出てくるのが葵なのはアニメオリジナルと聞きましたが、それまでの過程(執筆に悩む式部役に小林さんのキャスティングも素晴らしい)を踏まえて自身の創作の意義を意識させてからのあれですから、本当に見事。
超訳のさせ方と言うかまず藤子の存在をうまくつくったなーと。

ファイ・ブレイン 神のパズル 第2シリーズ オルペウス・オーダー編 第25話「無限のパズルを解き放て!」

脚本:根元歳三/絵コンテ:遠藤広隆/演出:遠藤広隆、牧野吉高/作画監督:佐々木洋平、伊藤裕次、今岡大、中村千秋、重田敦司
一部の作品において、大きな大きないわゆるセカイに関わるような問題とその作品の主要人物たちの小問題、些細な悩みをどのように比較、あるいは重ねて描くかというのはその作品のキモとなる部分であったりするのですが、その悩みの規模を壮大なパズルの規模と重ね合わせて描き、同様にパズルを解き心を解くというのを自然に描いたこの一話。
第1シリーズ最終話で同様に規模の大きいパズルだけどもなんと非常に安易というのをやっているから効いてくることでもあるし、それまでの2クールの積み重ねを非常に丁寧にまとめ、かつ次シリーズに向けて布石を打っておくなど非常に良くできた回だった。
テンションの上がり具合も今年屈指。

スマイルプリキュア 第36話「熱血!?あかねの初恋人生!!」

脚本:成田良美/演出:田中裕太/作画監督:稲上晃
この手のエピソードの経験豊富な成田さん脚本、安心安定の田中さん演出、プリキュアシリーズ古参の稲上さんという組み合わせに、この回の一番のキーパーソンであるブライアンに柿原さん!!という見事なキャスティングで良くないはずがなかった。
夕日の使い方、時かけコンプレックス(今勝手に命名したあの走りのシーン)など印象に残る場面も多く、何よりあかねの表情の描き方、かわいらしさからスタッフの愛が伝わってくるのが素晴らしい

新世界より 第10話「闇よりも」

脚本:浦沢広平、十川誠志/絵コンテ・演出:山内重保/作画監督:羽山淳一
すべての問題は人間の心にあるんだよ
予告からすらあふれ出ていた山内節炸裂回!!人間の心をアニメとして一番表現するのは顔ですが、その顔を大きく、または顔を映さず体の一部で動きを示す山内さんの手法がストーリー、というよりも瞬、早季の心情と恐ろしくマッチしていてもはや怖かった回。
なんといってもあの仮面の扱い方である。
仮面の瞬に対してこの回の早季の大人びた顔立ち、もはやキャシャーンといっても良いような(良くない)凛々しいクライマックスの表情など本当に色々とアニメが面白くなる要素が上手く重なった回。


テレビアニメ以外だとやっぱり今年は伏が自分にはあるんですが、今回はこの感じで。
また2013年もよろしくお願いいたします。

まだお話の途中。 『おおかみこどもの雨と雪』感想

というわけで早速細田守監督作品の『おおかみこどもの雨と雪』を見てきました。
結論から言うと、すっごく良かったです。『細田守』の新作オリジナル作品という点から言えば、個人的には完璧だったと言っても良いんじゃないかとすら思います。
あ、たぶんこのエントリは内容について、あらすじとかネタバレとかそういうの全然ないです。個人的な印象。


完璧と書きましたけど、これは、ストーリーの内容についてのことじゃなくて、あくまで細田さんの演出とか画面作りといったことを含んだ「細田守作品」という意味での評価なので、たぶん『サマーウォーズ』的なものを期待していくと肩透かしを食らうと思うし、実際『サマーウォーズ』ほど受け入れられないんじゃないかな、とも思っています。
ストーリーで言えば、要するにこれは子育て、子の人生の話なのですからある意味で中途半端なところで終わるのは仕方がないんですね。人生という名の物語は続く、のだからひとまず区切りみたいなものはつくかもしれないけれど、やはり本編が終わった後の彼女ら、彼らがどうなるのかというのは気になるし、なんというか一作品として終わった感じが薄い。これは単品作品としてどうしようもない欠陥だと思います。
とはいえ細田さんの客観的な目線から紡がれるおおかみこどもの成長記は(それが物語の一片だとしても)充分よく出来ているとは思います。ただそれだけで見ると満足できない人がいるんじゃないかな、という。


じゃあ自分は何をもってして完璧といっているかというと何よりも、どこをきりとっても細田さんの作品だといえる画面になってることです。特に今回は脚本の執筆段階から細田さんががっつり関わってるということで自分が思い描く画面が作りやすかったんじゃないかなと思います。
しかも、ただの細田守作品じゃなくて橋本カツヨであり、遡玉洩穂である感じがするんですね。よく橋本カツヨは情念的だ、とか言われたりしますけど今作はそういう意味では過去二作同様橋本カツヨから遠い部分もあるし、逆に前二作よりすごく前面に出てきてる感じもしました。よーするにあれです。唐突に出てきてびっくりした『世紀末オカルト学院』ED写真の橋本カツヨがすごく出てきてる。


サマーウォーズ』ほど受け入れられないだろうな、といえば細田監督へのいわばポストジブリポジションへの期待という話題がどうしても頭に浮かびますが、やっぱり細田さんは『ジブリ』にはなれないし、ならなかったんだろうなというのが見ていて何故だかすごくあったのですが、映画見終えて帰りの電車ではてブ見てたらこのインタビュー見つけたんですけど、「手描きとCGを共存させつつ、仕上げの段階では、アニメの伝統技法にこだわりの浅いCGスタッフを、意図的に登用」っていうのを見てすごく納得したりしました。


いやぁでも本当に見ていて、細田さんの新作だ!!この画面だ!!というのがずっとあってすごく楽しい時間を過ごすことが出来ました。同ポジの繰り返し、青空の雲、あのレイアウト。教室とかカーテンとか本当に良いんだ、これが。
で、ストーリーが半端になってしまっているという話に戻るんですけど、細田さんがまだTVシリーズを担当していた頃に全編の中で転機あるいは異色にあたる話数に関わることも多かったというのを考えると、細田さんの特異な演出で目を引き、面白い話を展開させ、「一話」が終わり、そしてその後も物語は続く、という構造はまさに自分が好きだった細田守の手がけた作品だったわけです。



というわけで、やっと細田守の新作作品がきたんだ、というのを大いに享受できる作品でした。(『サマーウォーズ』が『ぼくらのウォーゲーム』のセルフリメイクにしか自分には見えないのもあって。)
橋本カツヨうんぬんのところも含めて現時点での細田守という人が作る『彼』の最高傑作であると自分は思っちゃっています。*1
本当に自分が細田守に求めたもの、細田守が好きな理由といったことが入ってる作品になってると思います。はやくブルーレイほしい。

*1:とはいえ傑作であるだけで好みや嗜好で言うとフェイバリットではないんですがね

ジャンプ改の懸賞当たったことを自慢するためだけにダイアリ書く


ジャンプ改の懸賞当たってました。『恐山ル・ヴォワール』のオリジナルCD。
こういうの当選するのはジャンプSQの企画で、武井先生が『エンバーミング』のキャラクターを描かれたポストカード以来かなぁ。
曲自体は例の動画で今も聞けるんだけど、音源が違うとやっぱり違うね。
というか本当に勿体ないから集英社は何らかの形で、めぐさんのアルバムに混ぜるとか一般の形でこれ手に入るように絶対にすべき、というかやらないとかもったいない。
正直これに関してはちょっと集英社(っていうか編集側)の煽り方とか話題の作り方が好きでないんだけど、曲と歌自体は素晴らしいのでこうやって手元にあるのは素直に嬉しいんだけど。
ジャンプ改7号の表紙のイラストのポストカード付いてるのかと思ったら、ポストカードじゃなくて印画紙でいわゆるキャラクターグラビア的なあれだった。
保存に大変困る。



んで、これ本当に開け方が分かんなかったというか、案の定開けたら戻し方が分かんなくなったでござる……
フリクリのブルーレイはそういう商品だと思えたけど、今回は勿体なさをすごい感じたなー



中身は公式でも掲載されてたけど、こんな感じ。歌詞カードも入ってたけど、これたぶんジャンプ改に以前掲載されたものと同じかな。


しかし最近、好きだった作品の黄泉返りが多いけど、ファンを墓穴から引きずり出すのはほどほどにしてほしいとおもっていたところで、こういう素直に嬉しい企画が出てきたのは良かったなぁ。
本当に一般的に音源が手に入るような形にしてほしい。

エウレカセブンAO始まる前にあることないこと思いついたこと好き勝手書いとく

ということで、関西MBSだと今夜からエウレカセブンAOが始まりますね!!
後付けこわい!!シリーズ化こわい!!まんじゅうこわい!!

あの超仏教サッカーアニメ、エウレカの続編が出るって話が出てからどうなるのどうするのとおっかなびっくりばっかりしてましたけど、ある情報が出てからあぁこれは見る覚悟が出来ちゃったなぁという瞬間がありました。
というのはレントンエウレカの息子に見える主人公アオの声優が本城雄太郎くんなのが発表された時でした。
本城雄太郎くんといえば、このブログではもちろん『亡念のザムド』役のヤンゴ役ですよ。
あんまりアニメ作品への出演が少ないから初報があった時は戸惑った人も多かったみたいですが自分としてはすごく納得がいきました。
アニメ作品だと同じ俳優の方が演じるキャラクターの移り変わりを(ネタ抜きで)意識することが少ないと思うのですが、本城くんの起用に関してはこれを意識せざるをえませんでした。
ザムドにおけるヤンゴと対になっていたのはナキアミでした。ナキアミはヤンゴの疑似的な母親であり、最終話において彼が求めるも届かない遠い場所に行ってしまったキャラクターでした。
ご存じの通り、そのナキアミを演じていたのはエウレカセブンにおいてレントンを演じていた三瓶由布子さんです。


エウレカにおいて、何も知らない出来ないおねだりな子どもから、自分の決断で求めるものを勝ち取りにいけるように成長した少年を演じ、
ザムドにおいて、迷い、心を閉ざそうとしていた娘から主人公とともに考え、歩み、世界の太母となり、それがために別の小さな少年の母親になることが出来なかったもう一人の主人公を演じ、
劇場版ポケットが虹でいっぱいで今度は迷いながらも自分の決断を信じ、新しい物語を紡ぎ出した別の少年を演じた、という流れを頭に入れたうえで
ザムドでその太母に母親になってもらえなかった役を演じた少年が、本当に、実際に成長して、今度はその母親を演じたキャストが二度にわたって演じたキャラクターの息子としてその作品の続編の主人公を演じる。
この起用だけでボンズがこの作品作るにあたってどういう態度で臨もうとしているか分かった様な気がしたのです。
もしかしたら、(シリーズ構成や脚本に會川昇さんがくるという噂も鑑みつつ、)ここ10年のボンズの総決算をつくるつもりなのかもしれないとさえ考えました。
だから、その意味において実はアオはレントンエウレカの子どもではなかった、ドミニクとアネモネの子ども、もしくはDVD最終巻ジャケットイラストのような存在だというような展開があっても問題はないのです。
ナキアミが産みたくても産めなかった子どもを演じた彼が演じる主人公なのだから。
この点においてエウレカ(みたいな少女)とレントン(みたいな少年)が出会うボーイミーツガールを組み立てればエウレカセブンが出来る*1という京田監督の言葉は間違っていないし、エウレカセブンAOというエウレカセブンの続編を作ろうとしている方法も正しいと私は考えています


エウレカレントンさえいれば、エウレカセブンが作れるという話に関していえば、やっぱり思い浮かぶのが劇場版エウレカセブンポケットが虹でいっぱいですね。
実は私はこの映画は良く出来ているし、面白い作品ではあると思うけど、なんというか(作品とは関係ないところで)好きになれない、どちらかというと嫌いな部類に入ってしまっています。
なんていうか、スタッフが(というか京田監督が)エウレカセブンをそのまま踏み台にして、踏み台にすることで、エウレカセブンの形で自分の表現したいことを描いてみた、という印象を抱いてしまっている。
それも一つの作品を作る方法かもしれないけど、やっぱり前作のファンだった人間としては、自分が過去に作った作品を「利用」して自分の表現の手段にしているというのには抵抗がありました。
しかも、それがいやようもなく「エウレカセブン」になっている!別物なのに。「エウレカセブン」している!!おもしろい!!*2というのがはらがたつんですよ!!本当に!!
腹を立てながら複数回劇場に通うという新劇ヱヴァでもよく見られたというアレを先取りしていたという。
だから、今回エウレカセブンの続編が作られるにあたって、ポケットが虹でいっぱいを許せるようになるかもしれない、そうさせてほしい、という期待もあります。
劇場版は別の作品だから、ということではなく、せっかく最終回の設定から導き出した別世界設定(そしておそらくそれはAOにおいても同じ)なのだから、どうにか劇場版の世界の話についても回収してほしい、そうしてくれればポケット〜に私が持ってるのどにひっかかったような違和感をようやく咀嚼できるようになる気がするのです。
だって劇場版もレントンエウレカの物語であるのは間違いないのだから。


逆に気になっているのが、先週の「ニューオーダー」放送です。
どうしてこのタイミングで、ifルートバッドエンドドラマCDをイベントで公開録音するにあたって音だけじゃ寂しいからとりあえず公式MADこしらえてみたみたいな(すごいざっくりとしてるけどそれほど間違ってないと思う説明)、下手すれば前作を見ていた人も混乱しそうな作品を地上波で放送しようと思ったのか。
こちらを回収する、もしくはこちらのルートの延長上の世界ということなら納得するのですが、どうなんでしょう。
単純に枠埋めや宣伝のためだけというならちょっとアニプレックスに怒る。それならペルソナ26話放送してた方が良かった。


そんなこんなで色々思ったことを書いてみましたが、もう始まってしまったら私達視聴者はついて行くだけなので本当に期待して、楽しく見させてもらえればいいなと思います。
風にそよぐ髪を束ね、大きな一歩を踏みしめて、胸を張って良い作品だった、と言える様な準備は出来てる。


交響詩篇エウレカセブン (1) (カドカワコミックスAエース)

交響詩篇エウレカセブン (1) (カドカワコミックスAエース)

話の出来というか完成度だけならたぶんコミック版、小説版の方が上なんだけどどうして私はアニメ版が一番好きなんでしょうね。

*1:正しい文章とそのソースはちょっと曖昧。劇場版のパンフだったかな

*2:ドミニクとアネモネは美味しかったね!!良かった!!