ペニンシュラ型

~私とあなたの不可避な壁~

そこでこそ愛 『京騒戯画』1話

放送二回目で第一話!!やっぱりちょっとややこしいでもそこが良い。
というわけで、第一話『ある一家の事情とその背景』でございます。
次回の二話もそんな感じが漂っていますが、今回は特に配信第二弾の内容を踏まえてると分かりやすいというかまとめている内容でしょうか。
そもそも予習編であるPVと配信版の内容と今回のテレビ放送版の設定が完全に同一かどうかというのがはっきりしてないので微妙に食い違いなどももしかしたらあるかもしれませんが。


さて今回もテキトーに書き散らかしていきたいと思いますが、前回答えを書くのが無粋みたいなこと言っちゃったのでなかなかそういったことを書くのがやりにくくなってしまいました汗
まず冒頭のタイトルが出るまでのカメラの動き方が良いですね。壮大さが感じられると言いますか。
石田さん演じる先生(稲荷?)の語りから入って何やらすごいことが始まりそうな印象を持ちますが、それでもやはりこの京騒戯画が描くのはただの家族のお話なんですよね。
ちょっと変わっただけどどこにでもある家族のお話。そういえば、松本監督の前作花の都〜もサラマンダー男爵とオリヴィエの親子の物語ということも出来るでしょうか。
花の都といえばそちらでもあった高所での家族の語らいが印象的ですね。高所というと周りが見渡せるということで話し合ってるキャラクターたちの関係性や立ち位置を確認するのに使われているシーンということなんでしょうか。
今回は家族が一旦離れ離れになってしまうエピソードだったわけですが、そういう意味だとOPや明恵の夢に出てきた割れたザクロはまんまその意味を持つ意匠ですね。OPだと鏡とそんなザクロが入れ替わっているわけでどういう意味になるのでしょうか。鏡を使って入り口を開き、入り口である門自体は古都が隠してしまったわけですが……


というわけで家族のお話ということで、初代明恵である父親=稲荷だとしますと、冒頭の語りの内容ももっとさみしいものになるんですよね。
作中でも語られてるように仏の体を借りている母、古都は未来を見ることは出来るけど過去を見通すことまでは出来ない。そして稲荷は騙りの通り、今に至ってもやはり過去の方ばかり見て先のことに視線を向けることが出来ていない。
結局古都と一緒にいても、あるいはいたからこそますます彼は過去に囚われることになってしまっているという。でも、その過去と未来をつなぐことが出来るのが、「今」であって今その家族がどうなるかという物語になるんだと思います。
ここで言ってみれば視聴者は予習編で「未来」を見ているわけなんですが、今回で鏡都に関する過去を見て、未来と過去の間にある物語がどうなるのかこれから体験していくことになるのだと思います。


という意味で今回の話で特に自分が好みだったのはそんな家族の親二人のやりとりでございます。
明恵と古都のやりとりがされているのが、あちこちで言われていますが、源光庵の間取りですね。


GenkoAn Windows.jpg
By PlusMinus (Photo by PlusMinus) [GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html), CC-BY-SA-3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/) or CC-BY-2.5 (http://creativecommons.org/licenses/by/2.5)], via Wikimedia Commons


悟りの窓の外側にいた者が迷いの窓の内に移動するなんてことは書いていて恥ずかしくなりそうな当たり前のことですが、ここで強調すべきなのはむしろこの画面上での意味を活かす、演出ですね。
左側にいたはずの明恵が、右から左の方に向いた古都の背中側から(つまり右側から)しかも古都よりこちら側から抱きしめる。
ここめちゃくちゃ良い。
でさらに畳みかける様に私たちと同じように観客目線である(見るばかりで何もできない)子供たちが更に回想を経て、観客の立場からあっという間に舞台の上に立たされる。しかも薬師丸は舞台の上での名前まで授けられて。*1
この濃度と意味の付加のさせ方は凄くうまい、面白いです。何故子供たちだけ成長するかというのが話題によく出ていますが、元々の八瀬と鞍馬の画自体は現在の姿に近い姿をしてるんですね、舞台の役者が変わったからそれまでの子供という役割が必要なくなって元の画に近い姿になったという見方が出来るかなぁと思います。
でもそんなエピソードを持つ舞台に今回のラスト、コトが突っ込んでくる!!しかもはじまりとおわり、阿吽の名を持つ二人(二匹)を連れて。
お話の土台だけならこれでしっかり完成してるすばらしさ。
ここも小技が効いていて、父親を期待してやってきた明恵(薬師丸)はその期待が打ち砕かれて舞台の方を見ていないんですが(あるいは彼自身も舞台の上の人間だから見ることが出来ない)、のが京騒戯画の主人公たるコトの語りにはどうしても目を向けてしまう。遅れてきた妹こそヒーローなんですね。


さてさてそんなこんなで、妹でありヒーローであるコトの過去に注目するのが次の二話でありましょう。
ゆっくりしちゃってもう二話の配信が始まってる頃ですが、逆にこのまま続きが見れるということでご勘弁ください。
つまり、このお話はとにかく、愛である。

京騒戯画 零巻(VOL.0) [Blu-ray]

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*1:この命名のシーンは直接つながってるわけじゃなくて彼の夢の中ですが