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狂人と悪人しかいない エンバーミング THE ANOTHER TALE OF FRANKENSTEIN 一巻感想

エンバーミング 1―THE ANOTHER TALE OF FRANK (ジャンプコミックス)

エンバーミング 1―THE ANOTHER TALE OF FRANK (ジャンプコミックス)

 
というわけで、昨日も言ってたエンバーミングの感想を簡単に。
 
19世紀英国を舞台に、幼い頃の出来事への復讐を胸に生き続けるヒューリーが無二の親友レイスとともに敵であるフランケンシュタインを倒そうとするのがとりあえずのあらすじ。こういえばネタバレはないかな?
 
うん、これ以上は何を書いてもネタバレになりそうな気がする……
といっても、まだまだ話も導入部だし、そんなに伏線丁寧に張ってるヒマもないので、一巻の内容だけで言えば、大体こうなるんだろうな、っていうのは結構読めるかも。
 
ぶっちゃけて書いてしまえば、お話もまだまだ導入部といった形でそこまで盛り上がるもんでもない気がする。いや、和月信者の私はお得意の墨絵バトルシーンが見られればそれでじゅーぶん満足だったりするんですけどね。でも、やっぱりこの作品のキモは、今まで読み切り版の話(今回の単行本には未収録でした)で登場していた二体のフランケンシュタインとヒューリーがどう絡んでいくのかというのが一番だと思うので、この一巻はヒューリー達の顔出しがメインと考えた方がいいかもしれない。
 
ただし、黒和月節、炸裂!!してるので、僕個人としては、そんなに退屈するようなつまらない内容にはなってないと思う。週刊ジャンプの方ではなかなか書きたくても書けなかったであろう暗めの哀しい話をバシバシ入れてきているので、ヒューリーやレイス達の業が今までの作品以上にヴィヴィッドに描かれている。これは確実に面白くなってきますぜ。
 
で、さっきもいったけど、この作品はフランケンシュタインはすべて殺す、というテーゼを掲げたヒューリーが、読み切り時の、花嫁を探すフランケンシュタイン、ジョンドゥや、大人の体になることを夢見る少女のフランケンシュタイン、エルムにどう絡んでいくかがこの作品の大事な部分になると思います。
ヒューリー自身もだけど、ジョンドゥやエルムとそれぞれともにいるリトルロゼとアシュヒトは全員大きな矛盾を抱えつつ、自らの目標を達成させようとしている。

作中に出てくる言葉、〜人造人間に進んで関わるのは悪人か狂人のどちらかだけ〜に表されるように、この作品に出てくる人物の大半は狂っている、なにか大事なものを喪失している感じがあるんですよね。みんな物凄く後ろ向きの方向を向いている。最近多い、ハッピーエンドなんかありうるはずのないタイプのお話。そんな物語を“物語の基本は笑顔とハッピーエンド”と言い切り、そのために、るろうにでは薫を生き返らせ、武装錬金ではブラボーを殺せなかった作者が書いてるんですよ。これがおもしろくならないはずがないではないか。
 
まだ一巻しかでていないこともあってそんなに強くプッシュはできないけども、絶対にこれから面白くなる漫画の一つではないかと思います。
あぁせめて、デッドボディアンドラバー(エルムが登場したお話)が何かに収録されているのなら、その内容を加えてもうちょっと突き詰めたことが書けるんだけど、未読の方が多いでしょうからなかなか説明ができないな。あぁ自分の文章力の未熟さが憎い。
 
 
にしても、毎度毎度、舞台裏をコミックスでぶっちゃけすぎですよ。和月センセ。あぁどして自分で自分の首を絞めるようなマネを……
あと、なんかピエロのつけ鼻で有名な先生に会ったって書いてるけど、これはどう考えても、某富士鷹ジュビロ先生ですね。どーいう経緯で会うことになったんだろうか。やっぱり安西先生関係かしら。
 
あと、TISTAも買ったけど巻末にスペシャルサンクスにワッキーってあったけど、これも多分和月先生だろうな……
そういう交流を大切にされているのを感じられるのは各先生のファンのこっちからしたら嬉しいことですね。