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あたらしい東映まんがまつり 『京騒戯画』感想 プレミアム先行上映会@京都に行ってきました

個人的にすごく楽しみにしていた東映の新作オリジナルアニメ『京騒戯画』の先行上映会に行ってきました。楽しみすぎて勢い余って昼の部、夜の部両方のチケットをとってしまいましたが、結果的に一足早く二回も見れたのでこれで正解でした。


上映イベントということで、声優陣がほぼオールキャスト*1東映バンプレストのプロデューサーさん、そして松本理恵監督が舞台上に上がって色々とたのしいコメントなどをしてくださいましたが、そちらの内容はたぶん控え目で作品自体に対するエントリになると思います、あしからず。
あ、あと昼の部第一問で「三番!!」と叫んだのはどうもぼくです、すみませんでした。

作品の雰囲気


京騒戯画」というタイトルですが、配布されていたパンフレットによると松本理恵監督としては「京(都)を騒がしく戯れる人たちの漫画映画」ということらしいですが、これは本当にそのとおりだなぁ、という感じがします。




松本監督といえば昨年公開の『劇場版ハートキャッチプリキュア 花の都でファッションショー…ですか!?』が初監督作品でした。この『花の都〜』をご覧になった方は、主要スタッフの名前がパリの風景にまぎれてどんどん紹介されていくOPのシーンが印象に残っているのではないでしょうか。この一連のシーン、情報量も多く画面構成も鮮やかで、しょっぱなから一気に作品の雰囲気に視聴者を引きこんでくれる素晴らしい演出だと思います。
それから更に情報量を増やし、30分近くずっとぶっ続けでお話を進めていく、『京騒戯画』はそんな作品です。
東映の平田プロデューサーが新時代のアニメにしたい、ということをおっしゃっていましたが、この情報量と勢いは確かに「お祭り」だなぁ、と感じました。しかもすごく新しい。そういう意味も込めてこの作品は「あたらしい東映まんがまつり」なんじゃないかな、と思います。


関係ないどころか東映製作ですらないアニメの話になってしまいますが、私は『輪るピングドラム』の放送が始まってまだ数話くらいの頃、あの作品を見るたびになぜだか東映まんがまつりという用語が浮かんだし、この『京騒戯画』が楽しみになっていました。
ブレインズベース製作のこの作品に対し、どうしてこんな風に感じ、どうしてまた東映の言葉が出てきたのかをうまく言葉にすることはできないのですが*2あの画面内の情報量の多さ、色の鮮やかさに対して「まんがまつりだ!!おまつりだ!!」という印象を抱いたのではないかと思います。
もちろん画面の雰囲気とか作画の傾向などという意味ではピングドラム京騒戯画も昔の東映とは全く違うものなのですが、なにかワクワクする、期待させてくれる時間をくれる、という意味ではこれはまさしくおまつりなのです。
ピングドラムについては現在ストーリー展開も進み、特にここ数話は完結に向けてのタメを作るといいますか暗い空気を漂わせることも多くなりそういったオマツリ感も薄くなってしまったのですが(それが悪いことでは当然ありません)、京騒戯画では終始お祭り騒ぎで走りきってくれた、それどころか今まさに走りだしたばかりなのではないかと思います。


雰囲気という意味で言えば、ついったなどで上映会の感想を読んでみると、「終始PVみたいだった」の様な内容のものが幾つか散見されましたが、個人的にはそんなことはないと思いますよ。
確かにストーリーが難解といいますかむしろ、謎を提示するだけ提示して回答をすなお〜に提示してくれているわけではないんですよね、この作品。
でもまったく訳が分からないということではなくて、実はあらすじ自体は公式サイトとか読んだらだいたいこうなるんだろうなーと想像できる様なものだと思うんです。ただどうして何がどうなってそこでそうなったのか、このキャラクターは一体どうしてそんな行動をとったのかっていうのが全然言葉として説明されていない。*3そのあたりがPVぽいと言われちゃう原因かな、と。
でも何も考えずに作られているというわけでは決してなくてひとつひとつの画面がちゃんと理屈に沿って作られてる。これは直接松本監督からコメントもありました。


これは下種な勘ぐりになってしまうんですが、東映アニメーションとしてはこの『京騒戯画』で『ガンダムUC』や『空の境界』、『ブレイクブレイド』『トワノクオン』などといった最近流行りの劇場で公開していくなどといった宣伝広報形態をとって連作もののOVAを売り出していく、ということに挑戦していきたいのではないのかなと思います。
ですので今回の30分だけで世界が完結しきってしまわないように直接、言葉としてそういった説明を出すのを避けたのではないかと。要するに今回のお話は大事な大事な第一話なんです。(各キャラクターの人間関係がすでに出来上がってたので2クールものの8話位で大事な真実の一つが明かされる、とか急展開!!ってなる回と捉えても良いかも)
今回だけでも一応お話としてまとまってはいますけどまだまだこの世界は始まったばかり。そんな段階で全部分かってたまるものですか。
そういう点で苦しい点があるのを製作側も分かっているからこそ自嘲するかのように終盤にかけて「よくわかんないけど」と言ったセリフを複数回キャラクターに言わせてるんじゃないかな、と思います。なにしろ、改めて鑑賞しての印象を聞かれての松本監督の答えが


「やっぱ尺が足んねぇな」


でしたからね。


画面作りの理屈


上述の様に、めちゃくちゃ製作側が考えて一つ一つのカットを作っているというのは分かります。まだ二回しか見てなくていうのもなんですが、こっちとしてはそれがなんなのか理解できないのがはがゆい!!くやしい!!
以下ネタバレ?なんで伏字。なんか複数世界ぽい!!ローディング怪しい!!ハクランがいるのは違う世界っぽい!!鏡都ってことは裏表あるっぽい!!コトと古都はまさに京都な存在で京都生んだっぽい!!人、妖、仏三領分作って管理任せたっぽい!!

でも非常に細かいのは分かります。通信電波?を画面の中に画として組み込むとか序の口です。言葉ではないけど描写での説明は山のようにしてくれてます。
だのに作画がよすぎるせいで動きに目が行って細かいところ見逃してしまうのがずるい。
冒頭の詩もそうですが、ウサギを探して不思議世界へっていうのは完全にアリスですよね。そうなると黒兎はどうなるのっと。意味を解き明かしたい。シビレましたさねとし先生。


ですから、一話みたいなものかと思って見ないのではなく、一話だからこそこれからのことを考え読み取りながら見ていってほしいなと思いますし、自分も見るつもりです。あくまで今後の展開は応援次第といういつものアレも飛び出しましたし応援したい!!


個人的には『花の都〜』の劇場シーンもそうですが、松本監督はそういう物語を上演、進行する場所にこだわりがあるのかなと感じました。


というわけで非常におもしろい、見応えのある作品になってると思いますのでみなさんもこのおまつりに参加して、かつぐまではいかなくとも神輿を鑑賞してみるのはいかがでしょうか。非常に素晴らしいアニメーションだと思います。



実際に設定と同じくらいのサイズで作ったというコトのハンマーがあったよ

http://live.nicovideo.jp/gate/lv69508359
ニコ生は12月6日21時から
http://www.kyousogiga.com/
12月10日から公式サイトで本編配信


物足りないので追記したいでっす

*1:なんと鈴村さんと竹本さんの二人を除いた全員

*2:東映出身の幾原監督の画面作りによるものでしょうか

*3:そういう意味だと作画が素晴らしいこともあって作画アニメと言ってもよいかも