ペニンシュラ型

~私とあなたの不可避な壁~

結局なにも変わってないという。  花やしきの住人たち感想少し書くよ。ハニカムが怖いよ。



なんていうか、うん!この人にハニカムこれ以上描かせたらダメだよ!!
反動がくるよ!!とんでもないことになるよ!!
陰と陽との調和のもとになんてウソだよ、全てが負につながるしかないよ!!


というわけで、綺麗にまとめようとしてますが、まったくまとまっていません。*1どう考えてもバッドエンドです。本当にありがとうございました。
いや、これはジャケ買いした人はどう思うんだろうか。


一応、ラブコメの皮を被って始まった作品のハズなのでラヴいシーンやギャグパートも結構あるんだけど読み進めていくにつれてそれを見て単純に笑ってられなくなるんですよね。
ここ表面上は和やかだけど、この子は前にこういうことがあったよね、それっでコレって笑ってていいのか?みたいな他のマンガなら普通に笑えるシーンで笑えなくなってくる。
たぶん物語の核の一つとして「固定概念やトラウマからの脱却」があると思うのだけど結局
安芸の女性に対する見方ってのが変わっただけでその観念を生み出す原因になった親に関する問題というのは全く解決していない。(むしろ、母親が生きておったという問題が増えている。)
今は安芸は作品通して成長したようにも見えるけれど、この作者なら確実に両親が帰ってくるか、母親が生きていることを知るような展開になった時に彼がブッ壊れるように描くだろうというのが簡単に思い浮かぶ。
僕自身はこういうキャラのベクトルが内の方向に向かう暗い作品が好きなんだけれども、いかんせん掲載誌が悪かったのかな。
でもこういう黒い作品はきっと必要なんだと思う。


言ってみれば、安芸が入ってきたことで既にできあがっていた共依存の関係とか作中でいう言霊の呪が壊れたからそこに在った問題の形はなくなった*2けど、そこにあった根自体が消えていないので安芸を加えた新しい関係性が構築され終わったこの物語完結時には新しい問題が発露しつつある。
なんという堂々廻り。
こういう大して世界は変わりはしないという空気はちょっと前のよしながふみ先生の作品に近いのだけれど、にしても桂明日香先生はその変わらない世界の切っ先が鋭すぎる。そこがいい。
もっと刺してくれ。


というわけで、色々書きましたが、一巻後書きにあったようにハニカムがバカ話をするせいで花やしきがバランスをとるべくこういう方向に行ったのは確実なので、花やしきが終わった今、ハニカムにいつ黒成分が湧き出てくるかビクビクするわけです。頼むから考えないでそのままハニカムは書いていて頂きたい。
ついでに久々にエロティクスエフにて黒成分で描いてくれれば私は狂喜乱舞するんですがね。
ホントにハニカムのヤツらほど自分のことにニブければどれだけ花やしきの住人たちは幸せになったことか。
とにもかくにもこの終わり方だったからこそのこの読後感。万人には薦められないけどこれは素晴らしいですよ。


ハニカム 2 (2) (電撃コミックス)
 

*1:構成がマズイという意味ではありません。

*2:多分見えなくなった。消えてなくなったわけであらず。